トップページ >> 最新研究情報

最新研究情報

2020.06.05

異種材料を用いたシリコンフォトニクスデバイスの新機能の創成(電気電子情報工学科 教授 中津原 克己)    

電気電子情報工学科  中津原 克己 教授 電気電子情報工学科 中津原 克己 教授

快適な通信環境を支える通信ネットワークのさらなる高速化・大容量化を実現する光デバイスの研究を行っています。

光通信システムは光ファイバの低損失性を活かした長距離通信から始まってデータ伝送能力を年々伸ばし、現在、海底ケーブルでは数十T(テラ)bit/s(一秒あたり数十兆ビット)の大量のデータ伝送が可能になっています。このため、海外の情報でも海底ケーブルを通じて多くの人が動画の視聴などスムーズに出来るようになっています。最近ではデータセンター内など比較的短距離のネットワークにおいても光通信が導入されてきています。また、無線通信においても、スマートフォンとのデータのやり取りを行う無線基地局やWi-Fiのアクセスポイントは光ファイバ通信で接続されていて、もはや日常生活にスマートフォンが欠かせない多くの人々の通信環境を支えています。

今後は、4Kや8K等の高精細映像配信、第5世代移動通信システム5G、さらにはAIを駆使した自動運転など、最近話題の新技術によって膨大なデータ伝送が必要となるため、これからの社会の発展の鍵は通信技術が握っていると言えます。特に、ネットワークとネットワークをつなぐ「ノード」と呼ばれる接続点は、図1に示すように高速道路のジャンクションと同じく、さまざまな行き先に向かう光信号の経路を切り替える役割等を担っているため、非常に重要です。そして、新たな社会の発展を支える将来のノードには、膨大なデータ伝送を担う光信号に対して様々な処理を行う光機能デバイスの集積化が不可欠となっています。

当研究室では、日々、大学院生と学部生が協力しながら、本学の研究設備である電子ビーム描画装置(図2)やスパッタリング装置(図3)などを駆使し、集積化に適した導波路形の光機能デバイスの研究開発を行っています。



【液晶を用いた可変光機能素子】
ネットワークノードにおいて、波長多重された光信号の経路をまとめて切り替える光クロスコネクトスイッチや特定の波長の光信号を選択して切り替える波長選択スイッチは不可欠であり、今後、これらを集積化していくためには、小型で低消費電力動作が可能な光スイッチの実現が望まれています。当研究室では、高密度集積に適したシリコンフォトニクスの技術に強誘電性液晶を組み合わせた本学独自の技術を用いて、低消費電力で集積化に適した導波路形の光スイッチの実現を目指しています。強誘電性液晶と呼ばれる液晶は、デバイスにかける電圧の極性を反転させることで大きな屈折率変化を得ることができ、さらに、電圧を切っても状態を保持する自己保持特性を持っています。この大きな屈折率変化と自己保持特性により、デバイスの小型化と低消費電力化を実現することができます。図4に動作実証した光クロスコネクト用光スイッチの鳥瞰図と出力光写真を示します。


【導波路形光非相反素子の研究】
集積化が実現すると、ネットワークノードの機能を格段に向上させる光機能デバイスとして、光アイソレータや光サーキュレータと呼ばれるデバイスがあります。光アイソレータや光サーキュレータは光が進む方向によって特性が異なる光非相反デバイスであり、磁気光学材料と呼ばれる特殊な材料が必要となります。当研究室では非相反性を持たないシリコン導波路上に磁性ガーネットであるCexY3-xFeO5(Ce:YIG)を形成することで集積化に適した光アイソレータ(図5)や光サーキュレータ(図6)の実現を目指しています。特に重要となる技術は、導波路に用いられるシリコンなどと格子定数が大きく異なる磁性ガーネットを、導波路上で結晶として形成することです。当研究室では、スパッタリング装置で導波路上に形成したアモルファス状のCe:YIG薄膜を種結晶とコンタクトさせて熱処理を行うコンタクトエピタキシャル法と呼ぶ技術を用いて、結晶性を高めることに成功しています。この技術を確立することにより、ネットワークノードへの光アイソレータや光サーキュレータの集積化が可能となり、これまでにない画期的なノード機能の実現が期待されます。


電気電子情報工学科 光機能デバイス研究室(中津原研究室)

PAGE TOP