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環境にやさしくウェットな状態でも抗菌活性を有する材料の開発(先端工学研究センター・第1,第2材料分析研究室/応用化学生物学科 准教授 和田理征)

近年、医療・食品・環境分野において、抗菌性や耐熱性に加え、生体適合性を兼ね備えた高機能性材料の需要が高まっています。特に、創傷被覆材や食品包装材料においては、感染防止や安全性を有する材料開発が求められています。本稿では、ウェットな環境においても抗菌活性を有する材料開発に取り組んでいる研究を紹介します。

応用化学生物学科
和田理征 准教授

はじめに

抗菌性を有する日用品は多く商品化されています。その多くの商品は、ドライな状態で使用するのを前提で開発されています。細菌やカビ、ウイルスなどは水分が多い状態で増殖しますが、水を含む状態で抗菌性や抗カビ性を有する材料は少ないのが現状です。そこで我々は、ウェットな状態でも抗菌活性を有する材料の開発に取り組んでいます。

研究内容

医療や食品分野での材料とする場合、長期的な安定性や安全性が必要となります。今日では多くの抗菌性の材料が開発されていますが、低分子量の抗菌成分は、材料から成分が外に出やすく、効果が長持ちしにくいという課題があります。また、銀イオンなどの金属を使った材料は、金属が反応して色が変わってしまうことがあります。そこで私たちは、体にやさしく、自然に分解され、さらに菌の増殖を抑える働きもある「キトサン」という素材に注目しました。キトサンは、カニやエビなどの甲殻類やキノコなどの菌類の細胞壁に含まれる「キチン」という成分を化学的に処理して作られます。(キチンから「アセチル基」という部分を取りのぞく"脱アセチル化"によってキトサンになります)しかし、キトサンは水に溶けないため、形にしたり加工することが難しいという欠点があります。この欠点を補うために、加工しやすく、体にやさしく、水を多く含むことができるポリビニルアルコール(PVA)とのブレンドを考えました。PVAとキトサンをブレンドすると、図1に示すようにキトサン濃度が低くても抗菌活性を有することがわかりました。

図1 キトサン濃度を変化させて抗菌試験を行った結果の様子

しかし、さまざまな分野での材料として使用する場合、PVAとキトサンをブレンドした材料の構造や物性を調べる必要があります。PVAとキトサンをブレンドした材料は、融点が上昇する傾向が見られます。これは、PVAにキトサンが入り込むことによってPVAの分子がまとまって集まるようになり、PVAの結晶部分の大きさが変化したためと考えられます。このような基礎物性を明らかにすることによって、さまざまな分野での応用が期待できます。

今後の展開

PVAとキトサンのブレンド材料の基礎物性を明らかにすることによって、例えば、肉や魚介類などから出るドリップを吸収して抗菌性を示す材料、また、水分を多く含むフェイスパックなどの化粧品材料、創傷被覆材の医療材料としての応用が期待できます。そのため、今後の研究でPVAとキトサンの抗菌メカニズムや基礎物性を明らかにしていく予定です。

▼関連するSDGs

▼本件に関する問い合わせ先
研究推進機構 研究広報部門
E-mail:ken-koho@mlst.kanagawa-it.ac.jp

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