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【「XR Kaigi 2025」出展報告】学生チームが挑んだ 22.2ch 立体音響 × メタバースの臨場感ライブ体験

2025年12月1日〜3日、東京都立産業貿易センター浜松町館で開催されたバーチャル領域(XR / メタバース /VTuber)を扱う国内随一の業界カンファレンス「XR Kaigi 2025」に、情報学部 情報ネットワーク・コミュニケーション学科 瀬林研究室 山本 和矢さん(4年)を中心としたチームが出展しました。企業中心のイベントの中で、大学としての出展は本学のみでした。XR kaigiには2023年から3年連続で出展しています。

左から、木村 奎斗さん(大学院 電気電子工学専攻 M1)、
山本 和矢さん(情報ネットワーク・コミュニケーション学科 4年)、
寺島 新太さん(同学科 2年)

【この記事のポイント】
・メタバースで立体音響を体験できる仕組みを展示。
・ネットワークの品質に合わせて、視聴者側で最適な画質を自動で選ぶシステムを実現。
・Interop Tokyo 2025 グランプリ受賞システムを、さらに進化。
・卒業生から受け継がれた研究に、学部・学科・学年を越えて学生主体で取り組み実現。

研究紹介 ―2025年6月Interop の展示からさらに進化―

本展示では、メタバース空間に 22.2ch の立体音響を取り入れ、さらに ネットワークの状況に合わせて映像品質が自動で切り替わる配信システムを紹介しました。

迫力ある演奏とフラメンコの映像を体験することができる

これまでのメタバース配信はモノラル(1ch)やステレオ(2ch)が中心で音の広がりに限界がありましたが、今回のシステムではサーバ側で音を立体的に変換し、あたかも周囲に複数のスピーカーがあるかのような音の配置を視聴者の空間に再現します。これにより、ライブ会場や映画館のように音が全方位から届く体験が可能になり、まるでその場にいるような臨場感を生み出しています。

22.2ch のように多くの音の音源(チャンネル)を扱う場合、1つのデータの流れ(ストリーム)で送れる音の数には上限があります。使用しているシステムでは、1つのストリームに最大8チャンネルまで乗せられるため、22.2ch の音を複数のストリームに分けて送り、受信側でまとめて再現することで、立体的なサウンドを実現しています。

当日の様子(木村さん)

当日の様子(山本さん)

また、Interop Tokyo 2025 Best of Show Awardでグランプリを受賞した2025年6月の展示(※1)からの大きな進化点として、映像配信の仕組みを改善したことが挙げられます。

これまで、通信環境に関わらず同じ画質(固定ビットレート)で映像配信を行っていたため、ネットワークの混雑などによりパケットロスや遅延の増加が発生すると映像が遅れたり止まったりする問題がありました。そこで今回は、配信サーバ側で複数の画質(マルチレート)を用意し、視聴者の通信状態に合わせて最適な画質を自動で選ぶシステムを導入しました。これにより、映像と 22.2ch 立体音響を安定して届けられるようになりました。

また、Interop Tokyo 2025に引き続き、会場内の回線を使わず、複数のモバイル回線を束ねて安定した通信環境を実現する、自前のネットワーク機材を持ち込み、展示の通信を支えました。

自前のネットワーク機材

開発の経緯―学部を超えた技術交流―

本研究・取り組みは学部・学科を超えた課題解決の成果でもあります。
今回の研究が始まったのは 2023 年。当時、創造工学部 ホームエレクトロニクス開発学科(現:工学部 電気電子情報工学科)3年生だった 工藤 聖央さん(2025年3月卒業)が、「家にいる人も病院にいる人も、すべての人にライブを届けたい」という思いから、メタバース空間での立体音響ライブ配信に取り組んだことがきっかけでした。

しかし、複数人をリアルタイムにつなぐ研究を進める中で、ネットワークの遅延や安定性という壁にぶつかりました。
そこで工藤さんは、情報ネットワーク・コミュニケーション学科の友人である 竹中 誠人さん(2025年3月卒業)に相談。竹中さんが所属する次世代の低遅延で大容量のネットワーク通信を目指す瀬林研究室(※2)を紹介し、両者の協力が始まりました。

この学科横断のチームで研究を進めた結果、2023年12月にはXR Kaigi Award 2023 の「U-25 ヤングスター部門」の最優秀賞(※3)を受賞。2025年5月には査読付き論文として画像電子学会誌 Vol.54,No.2に掲載されました(※4)。

工藤さんと竹中さんが卒業した現在は、竹中さんの後輩である山本 和矢さんが中心となり、工藤さんの同期である大学院電気電子工学専攻 博士前期課程 1年 木村 奎斗さんが協力を続け、研究をさらに前進させています。

当日の様子―2年生も加わった学生主体の展示―

今回の展示はすべて学生が主体となって行われました。
12/2は情報ネットワーク・コミュニケーション学科の2年生 寺島新太さんもブースに立ちました。研究室への正式な所属は3年生からですが、情報学部棟1階にはネットワーク工房があり、サークル活動のような形でネットワークに興味を持つ学生が学年・学科を問わず交流し、外部講師を招いた講義を受ける機会もあります。その中で瀬林研究室の先輩方とのつながりが生まれ、今回の展示を手伝うことになりました。「忙しい中でも、先輩が分かりやすく教えてくださっています」と話してくださいました。

(写真左から)山本さんと寺島さん

会場でのデモンストレーションは複数の機材を連携させる必要があり、複数名での対応が欠かせません。寺島さんも 重要なサポートメンバーとして来場者への説明などを担当しました。来場者の多くは、その分野の第一線で活躍する企業の方々で、質問内容も専門的でしたが、その中でも寺島さんは積極的に声をかけ、丁寧に説明を行っていました。

体験した来場者からは「ステレオとは全然違う、低い音の迫力がすごい」「よく 22.2 チャンネルを実現できましたね」といった驚きの声が上がっていました。

多くの方に体験していただきました

リーダー 山本和矢さんのコメント(情報ネットワーク・コミュニケーション学科 4年)

まずは、XR Kaigi 2025の展示にご協力いただいた先生方、先輩方、そして手伝っていただいた3年生・2年生の皆さんに、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

本展示は、私一人の力では困難な場面も多くありましたが、皆様のご支援・ご協力があったからこそ、最後までやり遂げることができたと感じております。今回の展示では、ネットワーク品質に応じて映像を最適なものへ切り替えるシステムを紹介しました。YouTubeなどでも一度は目にしたことのある機能かと思いますが、本システムにこの仕組みを組み込むことで、将来、より多くの方に利用していただく際にも、安定した視聴体験を提供できるのではないかと考えています。

今後は、この研究を3年生へ引き継ぎ、さらに価値のある研究へと発展させていけるよう、引き続き努力していきたいと思います。
改めまして、今回の展示会にご協力いただいたすべての皆様に、深く感謝申し上げます。

※1 【Interop Tokyo 2025レポート①】情報ネットワーク・コミュニケーション学科の学生がInterop Tokyo 2025 Best of Show Awardでグランプリを受賞

※2 分散ネットワーキング研究室 | 研究室ナビ | 研究 | 神奈川工科大学

※3 本学学生がXR Kaigi Award 2023の「U-25ヤングスター部門」の最優秀賞を受賞

※4 工藤 聖央さん・竹中誠人さんの論文『メタバース空間内における多地点立体音響配信システム』

関連リンク

XRkaigi
メタバース空間における立体音響多地点配信 ネットワーク品質に応じた最適な解像度で安定配信
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