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災害時の停電・避難、どうする? ― 1人でも多くの命を守るため 産学官民で意見交換 ―(地域連携災害ケア研究センター)

もし災害で電気が途絶えたとき、すぐそばに電源が無いと命に関わる要配慮者がいたら?
高齢の方を急いで避難させなければならないとき、使い慣れない車いすを上手く扱えるだろうか?
―――私たち個人・企業・行政は、普段からどれだけ備えることができるのでしょうか。
本記事では、災害時の要配慮者支援についての意見交換会の様子をご紹介します。

本記事のポイント
・神奈川工科大学の防災・地域連携の取り組み
・災害時、電源をどう確保するか、要配慮者の命をどう守るか
・幅広い参加団体との"今後に向けた具体的連携"

産学官民が集い、要配慮者支援を議論

2025年12月4日、神奈川工科大学KAIT TOWN 市民・eスポーツホールにて、地域連携・貢献センターと地域連携災害ケア研究センターが主催した『神奈川県域における災害時の要配慮者に関わる支援対策についての意見交換会』を開催しました。行政、医療・福祉、地域団体、企業、大学関係者など、多様な立場の参加者が一堂に集まり、要配慮者支援の現状共有と連携強化に向けた意見交換を行われました。

地域連携の拠点としてー神奈川工科大学の取り組みー

本学の地域連携・貢献センターは活動の一環として、行政・地域団体、民間企業等と包括連携協定を結び、出張講座や提言、大学施設の防災活用など、地域の災害対応力向上に取り組んでいます。また、地域連携災害ケア研究センターの山家敏彦特命教授は、日本災害時透析医療協働支援チーム(JHAT)(※1)の代表として、能登半島地震の際も現地で支援活動を実施しました。その経験を活かし、行政や医療的ケア児(※2)家庭などへ「停電時にどう電源を確保するか」を実践的に学ぶ講座も行っています。

今回は、それぞれ個別に行っていた災害時の要配慮者支援について県市町村、企業、市民などが一堂に会し、現状共有と連携強化に向けた意見交換の場となりました。

会の冒頭では、本学が厚木市の「指定緊急避難場所」および「指定避難場所」として、地域と協働しながら災害時支援体制の強化に取り組んでいることを紹介しました。 併せて、建物の耐震化100%を達成し、非常時に近隣住民にも対応できる設備を整えるなど、防災拠点としての環境づくりについて説明しました。(当大学の災害対策 - 地域連携災害ケア研究センター

防災対策について説明する久保田常務理事

神奈川県内の取り組み紹介

神奈川県や市町村からは、福祉用具を使う実践的な訓練や、福祉避難所への福祉用具整備、災害時の電源確保体制の構築など、様々な取り組みが紹介されました。 車いすや歩行器を備蓄していても、いざという時に「使い方が分からない」事態を防ぐため、備蓄品をしまい込まず、普段から使ってもらう工夫や、厚木市障害者協議会が地域と作り上げた防災チェックリスト(※)の周知、グループホームでの訓練、災害ボランティアセンターの活動状況などが共有されました。

医療的ケア児を支える給電研修の実践

かながわ医療的ケア児支援センターからは、2024年に本学で実施した研修が紹介されました。実際に医療的ケア児当事者やその家族を招き、電気自動車や蓄電池から医療機器を稼働させる研修を通じ、「自宅で災害が起きた場合の備え」への取り組みについて共有しました。

地域団体・民間企業による取り組み紹介と意見交換

また、青年会議所や福祉用具関連企業、訪問看護事業者など、民間団体も参加しました。県内21の青年会議所による災害支援協定「CHARMかながわ」の取り組みが紹介されたほか、福祉用具関連企業からは、災害時にも必要なサービスを安定的・継続的に提供されるよう業務継続計画を作成していること、福祉用具は"実際に使ってもらう機会をつくることが重要である"という現場からの声も共有されました。

さらに、災害時に「普段は2階で過ごしている」という住民との何気ない会話をヒントに救助活動につながった事例など、日常のつながりが命を守ることにつながることを実感させるエピソードも述べられ、参加者の多くが深く共感していました。

山家特命教授による訓練の様子を紹介

一人ひとりに寄り添うために

地域連携・貢献センターの小川 喜道センター長からは、大学としての今後の協力や展望について提案がありました。

まず、車いす修理サークルのOBによる知見を生かし、車いすを備蓄や地域導入する際の具体的な提言が可能であることが紹介されました。また、同センターがこれまで 10地域で実施してきたフレイル予防講座では、地域ごとに課題や特性が大きく異なることが明らかになっており、個別避難計画を地域の状況に合わせてきめ細かく作成する重要性が指摘されました。さらに、避難訓練の現場では、自力で参加できない方や、指定避難所まで移動できない方が一定数いる現状にも触れ、在宅避難を含めた防災モデル地区の検討など、地域の実情に寄り添った継続的な取り組みが必要であると述べました。

地域連携・貢献センター 小川センター長

これからも継続的に、実践的な取り組みを

最後に、本学 地域連携災害ケア研究センターの山家 敏彦 特命教授が以下のようにまとめました。

「停電や大規模災害はいつ起きてもおかしくないが、電気自動車や蓄電池があれば電気毛布なども使うことができる。いざ避難するとなった時、車いすや福祉用品を実際に触ってみたことが無い人が本当に多いので、講座や訓練などで実際に触る場をつくる必要がある。今回の意見交換会も、ここで終わらせず、定期的に集まることが必要。多様な主体がお互いの具体的な問題点や解決策を探り、行政の力を借りて、力を合わせ、実践的な連携を深めていくことが重要。より具体的な施策として実行していきたい」

地域連携災害ケア研究センター 山家特命教授

災害が大規模化・多様化し、避難生活の長期化も指摘されるなか、災害対策や備蓄の在り方は時代とともに変化しています。 会を通じて多様な主体が課題と方向性を共有し、今後も協働してより実践的な災害対策を進めていくことを互いに確認しました。本学は今後も地域とともに、誰一人取り残さない災害対策の実現に向けて、実践的な取り組みをさらに進めていきます。

解説

● 要配慮者
高齢者、障害者、乳幼児など、災害時に特に支援や配慮が必要となる人々のこと。

※1 日本災害時透析医療協働支援チーム(JHAT)
災害時に被災地へ赴き、治療が遅れれば命に関わる透析患者を支援する専門チーム。
日本透析医会など透析医療関連4団体で構成され、本部は神奈川工科大学に置かれている。

※2 医療的ケア児
人工呼吸器や喀痰(かくたん)吸引、経管栄養など、日常生活で医療的処置や医療機器の使用を継続的に必要とする子ども。停電時には生命維持に必要な電源確保が重要となる。

関連リンク

緊急報告会「能登半島地震の支援と私たちの災害対策」
災害から誰も取り残さない地域社会を構築するために(地域連携災害ケア研究センター長・山家特命教授)
「防災対策チェックリスト」ご利用のお願い/厚木市
かながわ医療的ケア児支援センター(神奈川県)
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