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2019.11.15

からだの内側に在って外と接する消化管粘膜の防御物質を探る(応用バイオ科学科 教授 栗原 誠)

応用バイオ科学科 栗原 誠教授  応用バイオ科学科 栗原 誠教授 

食物の消化・吸収を司る消化管の内腔には微生物や毒素が存在し、消化管の粘膜はこれら異物の攻撃に絶えず曝されています。これに対して粘膜は様々な粘液物質を産生・分泌し、異物の攻撃から自らを守っています。
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私たちのからだは、微生物や毒素などの異物の攻撃に絶えず曝されています。このような異物の攻撃を第一線で防いでいるのが、体表では「皮膚」、消化器、呼吸器などでは「粘膜」です。皮膚や粘膜で外敵との戦いが激しくなると「炎症」が引き起こされ、この戦いに負けてしまうと重篤な疾患になったりします。第一線の防御は健康を維持する上で極めて重要です。

消化管の管の中には、粘膜に傷害を与える物質がたくさんあります。例えば、胃にはタンパク質を消化する胃酸やペプシンがあり、粘膜防御が不十分だと胃自体が消化されてしまいます。また、腸には膨大な量の腸内細菌が住んでおり、腸の粘膜に絶えず攻撃をしかけています。腸内細菌の攻撃が粘膜の防御力に勝ると腸炎になったりします。このような外部からの攻撃に対抗して粘膜は、自ら産生・分泌した粘液で防御バリアをつくり、消化液や腸内細菌などの攻撃を防いでいるのです。

粘膜防御バリアの形成には、粘液の主要成分であるムチンと呼ばれる高分子量の糖タンパク質が関与しています。近年、胃と腸、腸でも空腸、回腸、大腸では構造の異なる様々なムチンが作られていることが明らかになってきました。では、なぜ生体は多様なムチンをつくっているのでしょうか?十分な答えはまだ見つかっていませんが、我々は消化管の内部環境に応じて適切に機能するムチンがあるのではないかと予想しています。ある環境で適切なムチンが産生されなくなると、仮に異物からの攻撃力が同じでも粘膜傷害が起こるのではないか。逆に、適切なムチン産生を高めることで、腸炎等の疾患を予防できるのではないか、といった仮説です。我々の研究が、原因がよくわかっていない消化管疾患の治療法や予防法の開発につながればと考えています。

応用バイオ科学科 免疫化学研究室(栗原 誠研究室)紹介ページ

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