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2017.12.01

食品成分が有する抗肥満効果とそのメカニズム(応用バイオ科学科 田中理恵子助教)

応用バイオ科学科 田中理恵子助教

「褐色脂肪組織」は熱を産生する器官であり、褐色脂肪組織の体積が大きいほど肥満になりにくい事が知られています。当研究室では褐色脂肪を構成する細胞を増殖・活性化する食品成分について研究しています。

脂肪細胞にはエネルギーを蓄える細胞と、熱を産生してエネルギーを消費する細胞があります。一般的に知られている脂肪細胞は、エネルギーを脂質として貯蔵する「白色脂肪細胞」です。

一方で、熱を産生して体温調節や代謝調節を行う細胞には「褐色脂肪細胞」と「ベージュ脂肪細胞」の2種類が存在します。この2種類の細胞がヒトの褐色脂肪組織を構成しており、成人の褐色脂肪組織ではベージュ脂肪細胞が大部分を占めています。褐色脂肪組織の体積が大きいほど肥満に対して抵抗性を示すことから、ベージュ脂肪細胞は抗肥満研究のターゲットとして大いに注目されています。当研究室では、ベージュ脂肪細胞の分化や機能を促進する食品成分の探索と、その作用メカニズムの解明を目指して研究を行っています。

ベージュ脂肪細胞は白色脂肪細胞と同じ細胞系列から派生する細胞ですが、白色脂肪細胞とは大きく機能が異なります。ベージュ脂肪細胞はミトコンドリアを多く保有する細胞であり、ミトコンドリア膜に存在するUCP1というタンパク質を介して熱を産生することでエネルギーを消費します(図1)。最近の研究で、我々はビタミンEの一種であるα-トコフェロールがベージュ脂肪細胞の分化を促進する可能性を見出しました(図2)。α-トコフェロールの摂取は糖尿病や脂肪性肝疾患、動脈硬化など肥満と関連する代謝疾患に対しても効果的であることが報告されており、このメカニズムの一端としても熱産生の亢進が関連していると考えられます。

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