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二酸化炭素を上手に活用して有害物質を取り除く研究(応用化学科 准教授 大庭 武泰)

地球温暖化問題では温室効果ガスとして良くない印象がある二酸化炭素ですが、使い方を変えれば安全で環境にやさしい技術となります。

応用化学科 大庭 武泰 准教授

温室効果ガスである二酸化炭素は、炭素を含む物質が燃えることで発生しますので、地中から掘り出した化石燃料(天然ガス、石油、石炭)を燃やすことが地球温暖化の大きな要因の一つとなっています。

しかし、二酸化炭素そのものは非常に安定していて、炭酸飲料にも用いられるほど安全な物質です。しかも不思議な性質を持つことが知られています。例えばドライアイスは二酸化炭素の固体で、室温に置いておくと固体からいきなり気体に変化します。これは皆さんもご存知かと思います。また、ビールサーバー(ビールをグラスなどに注ぐ際に使用する装置)にて炭酸ガスボンベを利用するタイプがありますが、ボンベ内の二酸化炭素は液体となっていることはご存知でしょうか。空気ボンベでは気体のまま高圧になっていますが二酸化炭素ではずいぶん様子が異なります。

実は二酸化炭素は温度31.1℃、圧力7.38 MPa以上で超臨界状態と呼ばれる、固体でも液体でも気体でもない特殊な状態になります。この状態の二酸化炭素は密度が液体並みで粘度は気体寄りという性質を持ち、さらにはいろいろなものを溶解しやすいという特徴を持つようになります。

この超臨界二酸化炭素を利用して、例えば水源(湖や地下水)に溶けてしまった有害な溶剤(工場廃液から流れてきたもの)を取り除く研究をしています。代表的な汚染物質としてトリクロロエチレンがあり、除去する際に別の薬剤を使用するとさらなる環境負荷となってしまいますが、この超臨界二酸化炭素を利用すると、安全にかつ環境負荷が少なく有害物質を取り出せます。

仕組みとしては、超臨界二酸化炭素の圧力を上げたり下げたりします。上げたときには有害物質を溶解し、その後下げると離します。物資の溶け具合を溶解度と呼びますが、超臨界二酸化炭素の圧力によって溶解度が変化することを利用しているわけです。

グラフの青色(キーがひし形)はその様子を測定した結果を示していて、圧力が6 MPa付近では二酸化炭素への溶けやすさ(気液平衡比)が約30ですが、圧力が13 MPaですと330と約10倍になります。溶けやすさがこれほど違えば、溶かしておいて放出させることができるわけです。

なお、グラフ中の他の結果は、窒素が混じった場合にどうなったかを示しています。混じると溶けやすさも小さくなりますが10%程度混入してもまだ十分な性能を維持しています。これは、別で紹介しました二酸化炭素を分離する燃焼方法(ケミカルループ)からの排気ガスを想定したものです。仮に窒素がまじったとしても超臨界二酸化炭素による有害物質の分離は可能ですので、ケミカルループ燃焼からの排ガスも十分活用可能なことが分かりました。

応用化学科 資源エネルギーシステム研究室(大庭 武泰准教授) 紹介ページ
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