【Interop Tokyo 2026 ShowNet】Interop Tokyo 2026で社会人エンジニアと挑んだ2週間
情報ネットワーク・コミュニケーション学科4年の梅田崇晴さん(瀬林研究室)が、国内最大級のインターネット技術イベント「Interop Tokyo 2026」の会場ネットワークを構築・運用するプロジェクト「ShowNet」のチームメンバー(ShowNet Team Member:STM)に選出されました。
STMは、一般公募と面接を経て選ばれるボランティアプログラムで、学生から社会人まで幅広いメンバーが参加しています。本学では初めて、事前検証期間「HotStage」から参加するメンバーとして選ばれました。HotStageは本番と同じ幕張メッセで行われ、事前にネットワークを構築して動作を検証します。その後、機器をいったん解体・梱包して展示会場となるホールへ移動し、再び組み立てることでInterop Tokyoのネットワークを完成させます。
約2週間にわたり社会人エンジニアとともに活動した梅田さんに、現場での経験について聞きました。

写真 1 写真右から瀬林特命教授と梅田さん
経験が生んだ「準備万端」
――HotStageでは、どのようなことを担当したのですか。
最初は、ラックへの機器の取り付けやケーブル配線、スイッチやルーターの設定など、ネットワークを組み立てる作業を担当しました。作業には技術だけでなく体力も必要でした。ラックへの機器の取り付けやケーブル整理など、初めて参加する人は機器の取り扱いに戸惑うことも多いそうです。
――HotStageに向けて、事前に準備したことはありますか。
事前に『持っていくと便利なもの』のリストが共有されていたので、自分でも必要だと思うものをそろえました。海外旅行用のスーツケースに、自分用の延長タップやケージナットを取り付けるための専用工具などを入れました。さらに、荷物を整理しやすいようバッグインバッグもいくつか用意して持参しました。
――かなり準備をされていたんですね。
研究室だけでなく、学外活動やイベントへの参加経験があったので、『現場ではこういうものが必要になる』というイメージができていました。その経験がすごく役立ったと思います。
社会人に囲まれて気づく実力
――社会人エンジニアと一緒に活動することに不安はありませんでしたか。
最初は、自分の技術がどのくらい通用するのか分からなくて、不安でした。でも、実際に作業が始まると、「意外と自分でも通用するな」と感じるようになりました。チームの中でも仕事を任せてもらえるようになり、自信につながりました。最初は自分の立ち位置も分からなかったのですが、だんだん意見も言えるようになって、チームの一員として仕事ができるようになったと思います。
――信頼されていることを実感した出来事はありましたか。
チーム替えの際に、今度は周囲を支える役割を期待されるようになったことです。「信頼してもらえているんだ」と実感できたのが、強く印象に残っています。
問題を見つけるコツは「正常な状態を知ること」
――印象に残っている仕事はありますか。
一番印象に残っているのは、ネットワーク障害を想定したフェイルオーバーテストです。機器や通信経路を意図的に停止させ、予備の経路へ問題なく切り替わり、通信が継続できるかを確認する重要なテストです。このときにいち早く問題を見つけられたのは自信になりました。(※1)
――問題を見つけるために気を付けていたことはありますか?
ほかの人があまりやっていなかったと思うのは、テスト前の準備です。インターネットへの接続状況やルーターの経路情報を常に確認できるよう、いくつもウィンドウを開いておき、機器を停止させる前の状態をすべて記録しておきました。異常が発生した際に、正常時との違いをすぐ比較できるようにするためです。また、トポロジー図(※2)で事前にどういう経路があるかを把握しておいて、1台のルーターに問題が発生した際、影響を受ける周辺のルーターをまとめて確認できるようにしていました。正常な状態を知っていれば、何が変わったのかすぐ分かります。だから、普段からネットワークをよく観察してシミュレーションしておくことが大事だと思いました。
※1 梅田さんインタビューショート動画:https://youtube.com/shorts/sOCIx_yC3V0
※2 トポロジー図:Interop Tokyoを支える最先端ネットワークの「設計図」
詳しくはShowNet Topology 1994-2026 https://note.com/shownet/n/n85ee3dc8466e
研究室で学んだことは、全部生きた
――瀬林研究室での経験は、現場でどう生きましたか。
研究室で学んできたことは、役に立たなかったことがありません。一つひとつが実力になり、現場で生きたと感じています。研究室には、個人で中古品を買い集めても、とてもそろえられない規模の最新機材があります。私は1年生の頃から研究室に出入りして、その機材を使った技術的な挑戦をかなり自由にやらせてもらいました。決まったカリキュラムがあるわけではないので、答えのないところを試行錯誤しながら、自分のやりたいことを形にしていく。その過程が何より勉強になりました。機材に触れて終わりではありません。その機材でネットワークを自分で構築し、運用まで手がけて、普段の生活を自分がつくったネットワークの上で送る。学内の実験的なネットワークには、趣旨に賛同してくださった他学部の研究室などにも接続していただいているので、うまく動かなければ利用者や自分に跳ね返ってくる。机上の知識だけでは済まされない感覚が身に付きました。
――瀬林研究室は全国でネットワークの実証実験を行っていますが、そういった経験が役に立ちましたか。
全国規模の実証実験は、良くも悪くもヘテロジニアス(※3)なネットワークです。しかもイベントのネットワークは、うまくいかないところをその場その場で直しながら作り上げていくもの。そうしたネットワークの全体像を理解し、変わり続ける構成に追いついていく経験は、Interopの現場でそのまま生きました。
※3 ヘテロジニアス:さまざまなメーカーの機器や異なる方式が混在している状態のこと。
――Interop Tokyoを通して、自分が成長したと感じたことはありますか。
技術だけではなく、チームで仕事を進める力も身に付きました。自分がやったことがある作業は、できるだけほかのメンバーに経験してもらい、必要なときに最後にフォローすることを意識しました。チーム全体で成長できることが大切だと思ったからです。
ネットワークへの興味は「なぜつながるの?」から
――ネットワークに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。
もともとはソフトウェア開発に興味がありました。ゲームやWebアプリなど、今では当たり前に通信を使うものが増えています。でも、どうやって通信しているのか全然知らなかったんです。「家庭のインターネットは、どうしてつながるんだろう?」「IPアドレスってどうやって決まるんだろう?」そんな身近な疑問から調べ始めたことが、ネットワークの世界に興味を持つきっかけになりました。
――これから目指すエンジニア像とは?
就職してからも、最新の技術を学び続けていきたいと思っています。ネットワークの世界は技術の進歩が速いので、仕事だけでなく、趣味としても学び続けていないと置いていかれてしまうと感じています。ネットワーク機器を扱うだけでなく、自分でソフトウェアも開発できるようになりたいです。ネットワークとソフトウェア、どちらの知識も持ったエンジニアを目指しています。専門分野にプラスアルファの強みを持つ技術者になりたいです。

写真 2 左から瀬林特命教授、梅田さん、丸山特命教授、三枝教授
「待つより、自分から動く」
――これからSTMを目指す学生へメッセージをお願いします。
待っているだけではなく、自分から行動することが大切だと思います。自分を売り込む場だと思って、問題に気付いたら提案したり、自分から発信したりすることが大事です。チームで動くので、自分の立ち位置を理解し、空気を読みつつも積極的にコミュニケーションを取ることで、信頼につながると思います。
――進路に悩む高校生へメッセージをお願いします。
高校時代は、たくさん悩みました。でも、その時間があったからこそ、自分自身を見つめ直し、「なぜ今ここにいるのか」を考えることができました。振り返ると、そのときどきの選択には意味があったと思えます。進路に「絶対の正解」はありません。大切なのは、自分で選んだ道を後から正解にしていくことだと思います。迷うことも無駄ではないので、自分を信じて前に進んでほしいです。
Interop Tokyoという国内最大級のネットワークイベントで、約2週間にわたり社会人エンジニアと肩を並べて活動した梅田さん。
研究室で積み重ねてきた知識や経験は、実際の現場でも確かな力として生かされました。さらに、この経験は、ネットワーク技術だけでなく、「自ら考え、仲間と協力し、挑戦する力」を大きく育てる機会となりました。
梅田さんのこれからの活躍に期待しています!
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