学部生が奮闘 全国規模の実証実験を支えた"現場の学び" 【CKP/IPAさくら祭り実証実験2026レポート②】
全国の拠点を100Gbps超で結ぶ大規模な実証実験は、研究だけでなく"運営"も重要です。今回2026年2月に行われたCKP/IPAさくら祭り実証実験では、情報学部 情報ネットワーク・コミュニケーション学科の瀬林研究室の学部3年生が中心となり、機材の輸送、会場の設営、参加者への説明を行いました。状況に合わせて構成や設定を調整しながら進める経験は、授業だけでは得がたい"現場の学び"になります。学生たちはこの経験を次の研究のヒントや将来の進路につなげています。


図1 神奈川工科大学で運営にあたった学生の様子(左から3年飯村さん、4年佐藤さん、3年筧さん、4年菊池さん)
機材輸送から説明まで 学生が「実験を動かす側」に
本実証実験では、2025年9月に研究室に所属した学部3年生が中心となり、8Kプロジェクターなどの機材の発送・輸送、各地の会場の設営、参加者への説明を担当しました。準備していたレイアウトや設定を、当日の状況に合わせて調整する場面も多く、計画通りにいかない現場での判断とチーム連携が求められました。
その一例として、神奈川工科大学では、学生が中心となり、ローカル5Gを用いて学内の河津桜の様子を8Kで中継しました。また、大阪から遠隔操作できるロボットアームなどを設置し、操作と映像・音声のやり取りがどの程度スムーズに行えるかを検証しました。
拠点ごとの役割:全国のチームで一つの実験を成立させる
今回の実験は、拠点ごとに役割を分担して進行しました。
・沖縄(宜野座):三線の演奏やドローン飛行の様子を8Kで撮影し中継
・神奈川工科大学: 8K映像中継、ロボットアームの遠隔操作検証等
・東京(秋葉原UDX):映像・音の受信や検証を担当
・大阪(グランフロント大阪):一般公開で8K-3Dと立体音響を体験提供


図2 大阪会場の様子① 一般公開


図3 大阪会場の様子② 設営・運営の様子
学生からのコメント
3年・二見さん(沖縄担当)
「現場で焦ったのは、機材のスペックが想定と違っていたことです。原因を切り分けて検証しつつ、別の対応も並行して進める場面があり、現場での判断力が鍛えられました。」
3年・山川さん(秋葉原担当)
「企業の方も来場し緊張しましたが、ネットワークインフラを扱える技術を身につけたいと思っています。実際に機材に触れて検証できたのは貴重な経験でした。」
3年・森さん(大阪担当)
「当日は会場レイアウトの変更など想定外もありましたが、限られた人数の中で協力して対応しました。準備だけでなく、状況に合わせて構成を組み替える"運用"の大切さを学びました。」
他学科と連携 ヘルスケアロボットの中継にも挑戦
今回は、情報システム学科・三枝研究室の協力を得て、ヘルスケアロボットの動作を8K映像で中継する試みにも挑戦しました。ヘルスケアロボット「ルチア」は、三枝研究室で開発されたロボットです.介護・医療・福祉の現場で見守りや生理計測を行いながら、自動巡回・人追従・力覚操作など複数のモードで動作します。
分野の異なる研究室が協力することで、遠隔支援などの応用を見据えた連携を進めています。2日間にわたり、創造工学部 ロボット・メカトロニクス開発学科(現:情報システム学科)4年生の磯野さんが実演を取りまとめ、接続確認や切り替え作業などを臨機応変に行いながら中継を支えました。


図4 磯野さんとヘルスケアロボット「ルチア」
三枝准教授コメント
「三枝研究室でもSINET(※1)を利用してロボットが制御できるようになりました。将来的には情報ネットワーク・コミュニケーション学科とも協力し、遠隔で介護施設の様子を介護士や看護師がモニタリングし、医師が診察できるようなロボットの開発なども見据えていきたいと考えています。」
次につながる"現場の学び"
全国規模の実験運営は、技術だけでなく、準備・調整・説明といった総合力が問われます。AIが急速に広がる現代でも、ネットワーク分野では現場で機材を扱える人材の重要性が高まっています。学生たちは、試行錯誤しながらチームで乗り越えた経験に加え、参加者や企業の方々との対話で得たヒントを、実用化を見据えた研究や次の発表へつなげようとしています。
注釈
※1:大学・研究機関を結ぶ学術情報ネットワーク「SINET」











