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コース前方の曲がり方に応じた自動ブレーキの競技用電気自動車への適用検討(自動車システム開発工学科/先進自動車研究所 教授 山門 誠)

自動車システム開発工学科/先進自動車研究所 山門 誠 教授

  

競技用電気自動車に、カーブをスムーズに曲がるためにブレーキを制御するG-Vectoring Control(GVC)を適用し、タイムとエネルギ効率向上についてドライビングシミュレータで検討しています。

競技用電気自動車において軽量化は、加速性能の向上やコース完走のために最も重要な課題です。車両の重量物のうち最も重いバッテリ重量(容量)の削減が最も効果的です。走行時にドライバが通常の摩擦ブレーキで減速すれば運動エネルギは、熱エネルギとなり回収できません。しかしながら減速時に駆動用モータを発電機として自動的に車両を減速させれば(これを回生制動と言います)、エネルギ消費量を抑え、バッテリ容量を小さくすることができます。それを実現するためには、ドライバがブレーキを踏みたいという気持ちを事前に察知して、自動で回生制動を加えなければなりません。このため、本研究では、カーブをスムーズに曲がるためのドライバに与える違和感が少ないGVCを自動回生制御として採用しました(図1、図2)。GVCは、横加加速度(Gy) ̇に加減速ゲインCxyを掛けたものを前後加速度指令Gxとする制御で、うまいドライバがコーナーインの時に減速し、コーナーアウト時に加速するという運転動作を真似したものです(減速ゲインを大きくすると大きく減速し、加速ゲインを大きくすると大きく加速します)。

さらに、競技では同じコースを周回する(先がわかっている)ので、コーナーごとにGVCの加減速ゲインを減速時のゲインと加速時のゲインに分けて、あらかじめ設定できる制御モデルを作成しました。まずコーナーごとの制御ゲインを設定するために本学所有のドライビングシミュレータ(DS)を用いてラップタイムとエネルギ効率についての検討を行いました(図3)。その結果、以下のことがわかりました。

  

  

1.ラップタイムは、GVCによる加速制御の影響を大きく受けます。コース半径R10以上の加速ゲインを0.2以上と大きく設定することで、最大23.8秒、一周のタイムを短縮できました。しかし、ゲインを大きくし過ぎると次のコーナーの進入時に減速しきれず、ブレーキを踏みタイムロスを生んでしまうため、設定値に上限があります。
2.エネルギ収支は、減速ゲインを0.2近辺とし、加速ゲインを0.02程度少なくした仕様が、バランス良く加減速を行った上で合計エネルギも回生側をプラスにできることがわかりました。
3.ラップタイムとエネルギ収支の両立のためには、GVCゲインは可変にするほうが良いようです。具体的には、コース半径がR5以下の場合は、減速ゲインに比べて加速ゲインを0.02程度小さく設定し、R10以上では加速ゲインを0.23近辺に設定するといい結果が得られます。

以上の知見を活かし、2021年の新型車両では、2019年度車両より約20 kgの軽量化を見込んでいます(図4)。学生フォーミュラ 日本大会 2021でのFormula-EVチーム KAIT Racingの活躍にご期待ください!

  

  

  

自動車システム開発工学科 車両運動・制御研究室(山門研究室)紹介ページ
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