VEHICLE DEVELOPMENT
電子機器によりあらゆる機能が制御される現代の自動車は、“走るコンピュータ”と例えられるほどの進化を遂げています。自動運転などのスマートモビリティ、電気や水素といった新燃料など近年注目されるテーマに加え、安全性、快適性、環境配慮など追求すべき観点は数多く存在します。さらに物流や建設機械など、“人を運ぶ以外の役割”を持つ、自動車の枠を越えた価値もこれから求められるもの。次々と登場する新技術を自動車というフィールドでどう活用するか。これからの自動車開発者に多くの期待が寄せられています。
電気自動車自動運転スマートモビリティインテリジェントカー新エネルギー人間工学ドライブシミュレータエンジン開発交通システム環境保全
人工知能/ヒューマンインタフェース/情報システム
人間の運転以上に安全、円滑、高効率な自動運転の実現をめざし、機械自らが運転方法を獲得・改善したり、他の移動物体の行動予測や相互調停を行う次世代自動運転を研究しています。また、自ら考えて行動するモビリティが学内を動く「KAITモビリティリサーチキャンパス」の構築を行っています。
この専攻の特徴を教えてください。
少人数を生かした、理論と実践教育です。例えば、ロボカーを一人一台使って自動走行させたり、車両の動きを計測制御したり、タイヤ・サスペンションの違いによる変化の計測を行ったりします。人工知能、自動運転、車両運動・制御、機械力学などを実践的かつ深く理解することが可能です。
自動車のインテリジェント化/運動制御/ドライバー行動
上手い・速い・安全なドライバの運転動作を研究しています。安定した走行を実現するG-ベクタリング制御(GVC)は、本学発の研究が商品化された画期的な技術です。実車実験、ドライビングシミュレータを用いた実験、理論・制御則の検討により更に技術を向上させており、より「上手い自動運転の実現」をめざしています。
この分野の技術は社会をどう変えていきますか?
電動化・知能化・自動運転が当たり前となる自動車において、車両運動力学など物理法則上「変わらない部分」と、乗り心地、フィーリングなど人間に依存する「変わらない部分」の研究をより深めることで、単なる移動手段ではなく「乗る価値のあるヴィークル」を提供できるようになると思います。
これからどんなエンジニアが活躍すると思いますか?
だれもがやっている簡単なことを、同じようにやるエンジニアは「当たり前エンジニア」です。その人たちはトレンドの波に押し流されながら「これでいいのか?」と自問し続ける人生を送るでしょう。一方、確固たる基盤技術と、研究・開発の進め方を身につけ、技術課題に果敢に挑戦し続ける、そういう「差別化エンジニア」しか活躍できない社会になると思います。
社会で活きる学びを得るためにどんなことしたらいいですか?
自分自身が社会に飛び込む覚悟を持つことが重要です。自動車開発の例でいうと「自分で車を買って、走らせて、壊して、直して、保険料、税金を払って、維持して」など、「実弾」を打ち続けることによってしか得られない知識・価値観・苦労・歓びを得ることが、社会で真に活きる学びにつながると思います。
自動車/パワーエレクトロニクス/高周波回路
地球温暖化対策のためにCO2を排出しない電気自動車の普及が急がれており、本研究室では車を電動化するための中核となる最先端技術の研究開発を行っています。例えば、Bluetoothによるバッテリー管理システム、ワイヤレスや超急速充電などの次世代充電技術、超小型高効率なクランクレス発電システムなどが主なテーマです。
これからどんなエンジニアが活躍すると思いますか?
科学技術革新が起きるスピードは年々加速し、数年前の知識や常識はすぐに役立たなくなっています。そういった技術の進歩に対応でき、しっかりした基礎学力を持ちながら柔軟に新しい知識を学び続けられるエンジニアがこれからの社会に活躍すると思います。
この分野の面白いところを教えてください。
電気自動車や自動運転車に代表される次世代自動車は、従来の機械や制御技術だけでなく、パワーエレクトロニクスやセンサ、情報通信、人工知能など幅広くいろいろな科学技術分野が使われています。どんな分野に興味を持っても、車にその応用を見つけることができます。
専門知識以外に身につけるべきことはなんですか?
現代の自動車は多くの技術分野を必要としているので、エンジニアは一人ではなく、自らの専門分野以外の専門家と一緒に働き、研究開発を進めなくてはなりません。チームワーク、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力が益々必要になると思います。